ポリノジック
ポリノジックは重合度を450以上にして結晶化度を高めたレーヨン。
(原材料はレーヨンと同じく木材パルプですが高重合度パルプを使用)
レーヨンの製法と同様ですが、ビスコースを生成する過程で重合度の低下を抑え、紡糸の際は配列を整え結晶化度を高めた製法を用いられています。
レーヨンの欠点を改良した繊維という事です。
レーヨンのようにビスコースを急激に反応させて繊維状にするのではなく、ゆっくりと反応させながら再生させ、さらに高延伸する事により分子配列が整い結晶化度の高い高強度の繊維となります。
ゆっくりと反応させて形成されているので繊維の断面も丸く、その構造も外層と内層の区別がなく緻密で均一になっている。
その為、レーヨンよりも水の影響を受けにくく耐洗濯性も向上している。
とは言え、レーヨンなので水に対してデリケートなのは変わりないのでお洗濯は優しく。
キュプラ
キュプラは主にコットンリンター(糸に出来ない短い綿繊維)を原料として溶解・凝固・再生といった工程をたどって繊維状となります。
コットンリンターは重合度1400という事ですので、木材パルプ(700~1000)のセルロースとは品質の差がありますね。
繊維に出来ない細かなコットンリンターと言えども木材パルプのセルロースよりは品質が良いのでレーヨンとは特性が違っているようです。
(再生後の重合度は400~500だそう)
繊維断面は円状で内部構造も均一という事なので、水の影響はレーヨンほど劇的な変化は起こさない。
でも、水の影響を受けやすいのは変わらず、濡れると水シミが出来たり、水洗いをすると収縮してしまったりします。
劇的な収縮以外はレーヨンの特性と程度の差はありますが一緒ですね。
キュプラ生地はフィラメント(長繊維)で使用している事が多く形状も丸く表面は滑らかなので、負荷が掛かるとスリップ(生地組織のズレ)が発生しやすい生地です。
コートの裏地に使用されている場合、座る時にコートと一緒に座ってしまうとキュプラ生地が引き伸ばされる状態になります。
背中裏地が段々と垂れ下がって来るようになる原因です。
コート着用時に座る時は一旦コートを上に上げて生地に負荷が掛からないように座って下さいね。
(「相棒」の右京さんのように)
テンセル
テンセルはレーヨンと同じく木材パルプを原料としていますが、化学的に処理をして重合度が低くなるレーヨンに対して、テンセルは木材パルプをそのまま有機溶剤で溶解させているので重合度があまり低下しないと言う事。
なので水の影響を受けても収縮、強度低下も少ないので優しいお洗濯なら大丈夫。
でも、紡糸時に長さ方向にキレイに配列された構造なので、その方向に繊維が裂けやすい特性(フィブリル化)があります。
原料が木材パルプなので分子配列などが関係しているのでしょうか。
硬い繊維が直線状にキレイに配列されているので避けやすいという事かな。
色物であれば繊維が裂ける事によって白化現象(白っぽくなる)を起こします。
デリケートな素材ですので取り扱いには注意が必要ですね。